いつもタイミング良くに登場する

そして西部劇といえばガンマンもそうですが、いつも映像を見ていると現れただけで主人公や敵よりもまず目が行ってしまう存在感抜群の物があります。筆者はいつも西部劇を見ているとそれに視線が囚われて、気づけば大事なシーンを見逃していたということが何度もある。と言うより、どうしてこう物凄い絶妙なタイミングで登場するのかと、そもそもそれって本当に必要な物なのか、なんてことも考えていたものだ。演出としたら盛り上げる材料として必須なのかもしれないが、観客としては寧ろそっちが気になりすぎて意識が傾きかねないと思ってしまう。

何の話をしているのかというと、西部劇でお馴染みな風に流されて転がる『俵のようにまとめられた草』のことだ。西部劇といえばガンマンや異名もそうですが、この丸まってそれなりの大きさがある草の塊が転がっていくのが定番でしょう。これ無くして何が西部劇かとも言えるのではないだろうか、たまに主役を食ってしまいかねないからこそ笑いが零れそうにもなる。

面白おかしくなるところではないのかもしれないが、どうしても気になっているのでしょうもないかもしれないが、この草についても考察してみたい。

正式名称は『回転草(タンブル・ウィード)』

まずはこの草が一体どういうものなのかと調べてみると、やはり気になっている人がいるので簡単に情報が見つかった。そこによると、度々西部劇にて登場する草は『回転草(タンブル・ウィード)』といわれているそうです。しかもこれっ、人為的にまとめられたものではなく、元からこの形となっているのが自然だという。つまりだ、あのまん丸い体躯は元からあの状態であり、特別何かしら遺伝子操作などをしてそうなったものではないというのだ。

物凄い意外なものだと分かった、そんなものがアリゾナ西部には当然のように存在しているというから面白い。ですがこれについても少し調べてられており、どうやらこれはアメリカには元々なかった植物であることも判明している。そこのところも気になったので調べてみると、回転草とは呼ばれていますが、正式な植物分布においては『オカヒジキ属』と言われています。この言葉を直訳すると『回転草』になり、西部劇に登場しては圧巻の存在感から正式名称になったようだ。そのまま過ぎるだろうと突っ込みたくもなるが、名づけた人は逆に褒めてさし上げなくてはならない。

さて、このオカヒジキ属ですが本来ならばアフリカ・ユーラシア大陸などの乾燥地帯によく生えている植物となっている。当たり前ですが、アメリカとは陸続きとなっていることはないので、他国の人間が持ち込んだことが明白となっています。その経緯については現在のところ、ロシアの農業者が輸入した材料の中に、偶然にもオカヒジキ属の種子が紛れ込んでおり、それがアリゾナにおいて適応したことで広まっていったという。現在ではカンザス州が栽培もしており、過去にもこのオカヒジキ属を栽培しようという試みは取り組まれていたそうです。乾燥地帯では、そこで生息することが出来る植物というだけでもありがたいですからね、結果オーライといえるでしょう。

ただこの回転草については最近ちょっとした問題が勃発しているという。

繁殖レベルがぱない

オカヒジキ属の存在によりアリゾナを始めとした荒野が広がっている地帯では貴重な植物として重宝されるようになった。それだけでも価値は高くなっている、ですがそれも人の生活に支障をきたさないレベルでの範囲だからこその問題だ。現在、アメリカの各地ではこの回転草が異常繁殖しすぎて日常生活に支障をきたすまでに増えているのが問題になっているという。

どの程度問題になっているのかというと、

  • 道路を塞がんとばかりに溢れかえっている回転草
  • 住宅街に敷き詰められて、人の歩く場所もないほどに転がってきた回転草
  • 乾燥する時期になると火災が発生する主原因になりかねない回転草

こんな感じだ。

西部劇では1つないし2つが劇中にて転がって場の緊張感を演出する役割を担っていますが、リアルに考えるとその程度ならいざ知らず、これが50や100といった数がワンサカ溢れかえったらそれだけで邪魔になるのは言うまでもありません。これがアメリカだからと考えるとわかりにくいかもしれません、では日本でこのような回転草が東京都心に蔓延るようになったらどうなるかと考えてみよう。

結論を言うまでもなく、大混乱を招きます。交通の往来が激しい都心で回転草が道路や歩道、果ては線路までに生えわたっていたら、もはや交通インフラはパンデミックばりに混乱が混乱を呼び続ける。いくら広大な土地が広がるアメリカといっても、生活するのに必要なスペースや範囲は大抵決まっています。そこを回転草により遮られていたら、邪魔以外の何者でもない。西部劇で定番の草はリアルではとんだ社会問題と言えなくもない事態を引き起こしてしまっているようだ。

役立つ場面も

ただ回転草はそんな負の面ばかりでもない、回転草の転がる原理をヒントとして開発された商品もある。それが地雷を撤去するために開発された『地雷撤去ボール』の存在です。世界にはかつて世界大戦時、また紛争の絶えない地域では現在でも地面へと設置する地雷が多数存在している。ですがその地雷を撤去する作業は命がけとなっている、専用の装置を利用してもいつ撤去する人間の命を奪うかも分からない。命は助かっても足を失う事にもなりかねない。また地雷を踏むのは大人ばかりではない、何も知らない子供が遊びに出かけた先で地雷を踏んでしまうということが実際に起こっていた。

そんな地雷を無くすためにどうしたらいいのかと考えられた、出来るならなるべく人の手を利用しない、人件費を抑えたやり方はないかと模索されていた中でアイディアの参考となったのが回転草だ。風の力だけで自然に動くそれを参考に開発された地雷撤去ボールの登場で、人命を脅かすこと無く地雷を撤去できる可能性を見出したことは喜ばしいことです。

西部劇だけに登場してくるそれは、実はこうした社会に役立つための画期的な開発を後押しした物となっているのです。これは素直に西部劇のおかげといえるでしょう。